私の犬舎には、現在30頭のダックスと1頭のゴ−ルデン、お預かり(ボーディング)のダックス5頭の大所帯です。 そのうちの14歳のダックスを筆頭に15頭がなんとリタイア犬で余生をのんびりと過ごしています。(繁殖は5歳までと決めているのでリタイア犬が多いのです。) ”まるで老人ホームみたいね” なんて言われることもありますが、犬も人も似たようなもので、年をとるほど子供に返るのか、ショーに行っていた頃には見せなかった幼稚なそぶりや、 必要以上に甘える仕草がなんとも可愛いもので、”この子達が天寿を全うするのを見届けるのが私の使命” と、勝手に思い込んでいる訳です。 時々、”リタイアした子であと1回産ませられる子が欲しい 、あとは一生面倒みます” なんていうお問い合わせがありますが、なぜに繁殖するのですか? と聞いてしまいます。この子を本気で可愛いと思うなら1頭だけに全力で愛情を注いで欲しいと思う訳です。 以前知り合いが、お腹の大きいダックスを買ってきて、その子は7頭の子犬を産んだ訳ですが、子犬が離れると、母犬も繁殖目的の人に売ってしまいました。かなりの収益になったと喜ぶ知人を見て、”この人は命がけで子犬を産んで、飼い主に孝行してくれて恩恵を受けているのに、その母犬に恩返しの気持ちはないのだろうか” と心が痛みました。そして私自身を戒める、良い勉強になりました。 繁殖というのはすべてブリーダーに責任があり、その子達の一生を左右する大切な仕事だと自負しています。粗悪な性格の犬や、クオリティーを損なうおそれのあるもの、遺伝疾患はもちろんのこと、繁殖ラインからはずさなければいけないし、それを見つける力を私自身が養わなければなりません。 まずは必要のない繁殖しないこと。限られた繁殖回数のなかで私にチャンスをくれる犬達に感謝の気持ちを忘れず、少しだけ皆さんに提供できるるダックスと、ほんの少しだけ私のところに残ってくれるダックスを、本当に良いものだけをブリーディングできるよう努力していこうと思います。